※CAUTION※
・同性愛に関する表現が多々含まれます。
・閲覧に年齢制限を必要とする類の小説ではありません。
・「エロがない! ふざけんな!」とか言われるとものすごく困ります。


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 部屋の奥にしまい込んでいた高校の卒業アルバムを閉じた。
 あの後味の悪い僕の青春譚の片鱗はどこにも見つからなかった。
 分かっていた。アルバムの中にすら彼はいない。

 守谷はあの後、学校を辞めていた。
 そのはっきりした理由は分かりかねる。不登校の末出席日数が足りなかったとか、親の莫大な借金のせいで学費を払うことが出来なかったとかそんな風の噂が聞こえてきた。守谷の噂など、誰かの興味をそそるようなものではないのだろう。守谷がいつの間にか消えてしまったように、その噂もまたすぐに途絶えてしまったのだった。

 そして、卒業できなかった彼の存在はアルバムにも残っていない。それなら、始めから居なかったことと何が違うんだ。
 あの屋上でのひとときすべてが幻だったと言われた方が納得できる。
 僕は悲しい夢を見ていたんだ。それはとても寂しいことだけれど、守谷に辛い思いをさせずに済んだのなら、幸せなのかもしれない。
 こんな事を考えたところで現実は変えられない。
 守谷は死んだ。心中という方法を選ぶだけの人生を送って。

 どうしてこんなことになったのだ。
 あの日の答え合わせがこれなのか。
 僕の選択が間違っていたのか。
 僕が何もしなければ彼は、彼のまま生きていけたのか。

 僕の脳裏には屋上の光景がよみがえっていた。灰色と空色の世界。
 そこに守谷の姿はなかった。空虚に広がる世界には、僕がぽつんと立っている。

 行こう。あの町に行けば彼のことが何か分かるかもしれない。
 郷愁ではなく焦燥が僕の胸を駆り立てた。





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