※CAUTION※
・同性愛に関する表現が多々含まれます。
・閲覧に年齢制限を必要とする類の小説ではありません。
・「エロがない! ふざけんな!」とか言われるとものすごく困ります。
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久しぶりの挨拶がこんな形になってごめんなさい。
今、御崎くんはどういう状況でこの手紙を読んでいるのでしょうか。届くとは思っていないのだけれど、もし、この手紙が御崎くんの元に届いたのだとしたら嬉しいような恥ずかしいような、ちょっと不思議な気持ちがします。少なくとも僕はもう死んでいるはずなので、書きたいことを書こうと思います。
本当は何も残さずに死のうと思いました。でも、御崎くんにはどうしても最後にお別れを言いたかったので筆を執りました。最後の想いを語るのが一人だけというのは悲しいことだと思うでしょうか。僕にとっては、たった一人でも伝えたい相手が居るということはとても喜ばしいことなんです。
僕の人生はずっとひとりぼっちだったから。
御崎くんと出会う前も、別れた後も、ずっとずっと一人でした。学校を辞めてからは、学校に居た頃よりたくさんの人と関わったけれど、僕の心はずっと冷えていました。だから、僕と御崎くんが一緒に居たあの屋上だけが僕の走馬燈に映る思い出です。
はじめのころは、ただ隣に居るだけだったけれど、御崎くんの言葉をずっと聞いていました。僕の言葉で傷つけないように、何も言わず、音楽を聴いている振りをしてきました。そうすれば君がずっと隣に居てくれるような気がしたからです。おかしいと思うでしょうか? 普通、本当に仲良くしたいなら積極的に話をして、相手のことを理解して、信頼関係を築く努力をするものなのかもしれません。でも僕は不器用だから、あれが精一杯でした。
ただ一つだけ、御崎くんにしてあげられたことが彼女との仲を取り持つことでした。あれは、僕が生きてきた中で一番の大冒険でした。途中でバレたら絶対に嫌われる。もう二度と御崎くんが僕の隣に座ってくれる事はないかもしれない。それでも、僕がほんの少しだけ勇気を出せば、御崎くんがまた笑ってくれるようになるなら、たとえその笑顔が僕に向けられる事はなくてもそれでいいと思いました。
おかしいと思われるかな。でも、僕の中では全く矛盾していないことなのです。そして、僕には少しだけ自信が付きました。御崎くんがかけてくれたおまじないのせいもあるのかもしれません。ほんのいたずらだったかもしれないけれど、僕にとってはとても思い出に残るファーストキスだったのです。
学校を辞めたあとのことは言いたくありません。とても御崎くんに胸を張って語れるような人生ではありませんでした。話を聞いた限り野田くんも同じらしいです。
だから、どうかいま御崎くんの頭の中にある僕のイメージを大事にして下さい。変わり果ててしまった僕だけど、御崎くんの頭の中にその僕が居られれば、それだけで嬉しいです。あんなに弱くて嫌いだった自分なのに、こんなにも愛しく思うなんて、すごく変な気分。
汚れてしまった僕は、これから消えてなくなります。
最後に屋上の鍵を開ける時に使っていた道具をあげます。本当はヘッドフォンにしたかったけど、これはやっぱり当時の僕のトレードマークだから。最後まで持って行くことにします。
僕に素敵な思い出をありがとう。
時間にしてみればとても短い間だったけれど、僕の隣に君が居てくれたこと、遊びに連れて行ってくれたこと、一度だけキスしてくれたことは、僕の人生で唯一の輝いた記憶でした。
ほんとにほんとにありがとう。
僕はいまとても清々しい気持ちです。まるで君と一緒に居た頃の僕に戻ったみたい。
それでもやっぱり、僕はいくことにします。
それじゃあ。
守谷恭司
追伸
書くかどうか悩んだのだけれど、最後になるので全部書いてしまいます。
御崎くんがタバコを吸うことは、ずっと前から知っていました。
気持ち悪いと思われるかもしれないので言わなかったけれど、僕は後ろの席からずっと、御崎くんのことを見ていました。ごめんなさい。
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