| 竜王かえで(勇斗)さんより。 連載のかなり初期(ブログで暫定公開していた頃)に頂いたものです。 | |
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「懐かしいな。みんな、元気かな」 僕が何気なく呟くと、彼は 「一人さ、死んだんだって」 と、不謹慎なほど明るい声で言った。 「へぇ、誰?」 「モリタニって憶えてる?」 夏前の風が僕の身体を撫でるように過ぎてゆく。 |
| 「お前何してんの?」 屋上へ続く階段を遮るカーテンを開けると、彼はそこに居た。段上に腰を落とし、文庫本を開いていた。その矮躯にはふさわしくないほど大きなヘッドフォンを首にかけている。 「え? えーと、べつに……。ミサキくんこそ、なにしてるの?」 「……何でも」 僕は左手に持っていたタバコを後ろのポケットに押しこんだ。 別に隠すようなことではないけれど、チクられるようなことがあってはたまらない。幸いカーテンで隠れていたし、見つかった気配は感じられなかった。 「ここに人が来るなんて珍しいな。よければゆっくりしてってよ」 |
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